「秘密~THE TOP SECRET~」第3話放送

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関西テレビのドラマ、月10枠「秘密~THE TOP SECRET~」が2025年2月10日、第3回「少年が次々に自殺!?いるはずの無い男」が放送されました。
原作は1999年に白泉社「MELODY」で連載を開始した清水玲子「秘密~THE TOP SECRET~」、そして現在も連載が続く「秘密 season 0」。
脚本は佐藤嗣麻子(「エコエコアザラク」「アンフェア」「陰陽師0」)、第3回の監督は第1回・第2回と同じ松本佳奈(「きのう何食べた? season2」「春になったら」「団地のふたり」)。
テレビドラマ第3回の簡単な概要とあらすじを説明すると……
【ネタバレ注意!】
28人を殺した貝沼清孝(國村隼)の狂った脳を見た鈴木克洋(中島裕翔)を、薪剛(板垣李光人)が射殺した3年後、『第九』に1人の新人捜査員が配属される。
新人・青木一行(中島裕翔)の顔を見た薪は驚愕する。
亡き鈴木と瓜二つだったからだ。
純粋に第九への憧れ、薪への憧れを口にする青木に「君、この仕事合わないんじゃないかな。異動届けを出した方がいい」と薪は言い放った。
青木がはじめてMRI捜査を担当する事件は9人の少年が同じ日に別の場所で自殺した事件。
あまりにも鮮明な映像、そして少年たちが恐怖心から幻覚で生み出す脳内のバケモノの映像に青木は惑わされ、混乱する。
9人の少年は一時期同じ少年院にいたことが分かり、その時期の映像を見ることに。
少年院でセラピーと称し、催眠術をかける男性の顔を見た薪は衝撃を受けて、倒れてしまう。
その男は貝沼だった。
生前の貝沼が自分の死後に、少年たちが自殺するように仕向けていたのだった。
薪は自分のために貝沼が第九を作り、そのために少年たちを殺したのではないかと苦悩する。
ドラマ第1話の原作改変が第3話に活かされる
ドラマの第1話は原作からの改変が多く、原作ファンから不満の声があったことはこちらの記事:清水玲子「秘密~THE TOP SECRET」ドラマ第1話レビュー で紹介しました。

原作ファンの大きな不満の一つが、原作ではホームレスだった貝沼が天才脳科学者に変更されたことでした。
その天才脳科学者の設定が、第3話の貝沼の脳内映像で効果的に使われていました。
【ネタバレ注意!】
貝沼は「はじめて会った時から薪剛くんのことが大好き」で、脳のMRI技術が未解決の犯罪捜査の役にたつのではと話す薪のためにMRI捜査を開発し、第九を作ったと語ります。
「これは薪剛くんへのプレゼントだ」と、薪のために28人を殺し、MRI開発のための実験に使ったことを告白します。
そして「この映像を見ているのは鈴木君かな? 鈴木くんだと嬉しいな。私は君に嫉妬していたんだよ」と語りかけるのです。
貝沼役を演じる國村隼が、嬉しそうにねっとりと猟奇犯罪者として話しかけます。
國村隼はこの役を演じていて楽しかったのだろうなぁと思うほど生き生きと演技していました。
この貝沼の28人殺しののエピソードは原作では第1巻に収録されています。
ドラマの第3話は、実質第1話のようなもので、ドラマ第1話・第2話を見ていない視聴者でも入り込みやすかったのではないでしょうか。
そして、しろくろがドラマ第1話で抱いた不満があります。
露口絹子のエピソードは、原作では青木の父が亡くなったエピソードとリンクして進行していたのに、青木の父のエピソードが、ドラマ第1話ではバッサリとカットされていました。
ドラマでは青木が初登場する第3話にて、貝沼のエピソードと同時に青木の父の死が描かれていました。
「なるほど、こういう構成にしたのね」と感嘆しました。
露口絹子と青木の父のエピソードは、原作の第2巻に収録されています。
そして板垣李光人演じる薪剛が、ドラマ話数を重ねるごとに原作の薪剛っぽくなってくるのが嬉しいですね。
監督・松本佳奈の演出
第3話を見て、「あれ、今回監督変わったのかなぁ」と思っていましたが、第1話・第2話と同じ松本佳奈監督の演出でした。
第1話・2話は原作のボリュームのあるエピソードを取捨選択して、46分の尺にギュッと詰め込んだドラマになっており、緊張感のあるシーンの連続でした。
ちょっと気が抜けるような、ホッとしたり、クスっと笑えるようなシーンはほぼなくて、ドキュメンタリー的な映像が多い印象でした。
原作の「秘密~THE TOP SECRET~」は、猟奇的な殺人や凄惨な死体の描写があるマンガのため、映像化するときには、いくらでもホラーチックに、おどろおどろしい演出にすることもできたと思うのですが、第1話・第2話はあえて凄惨さやグロテスクさは抑え気味の演出に見えました。
「地上波だから凄惨さは抑え気味なのかなぁ」と思っていたのですが、第3話になったら、まるで解禁したかのようにホラーテイストでグロテスクな描写、幻覚に惑わされるような演出が増えました。
そして、第九所属の刑事が増え、チーム感のある雰囲気、仲がよさそうな感じ、コミカルなシーンが出てきて、テンポよくストーリーもすすみ、第1話・2話とは雰囲気が違う演出に見えました。
そして高橋努演じる岡部警部が最高の癒しになっている。
コミカルでナチュラルな演出、ドキュメント風の映像は、本来松本佳奈監督の得意とするところです。
松本佳奈監督は「きのう何食べた? season2」「春になったら」「団地のふたり」などを担当している、ほのぼの系のドラマが多い監督でした。
「秘密~THE TOP SECRET~」のようなミステリードラマは、松本佳奈監督としては珍しいタイプのドラマ。
松本佳奈監督が起用されたのは、薪・鈴木・青木・雪子を巡る人間関係にも焦点をあてたドラマにしたかったからなのかなぁと思いました。
ドラマ好きの中年男性にこそおすすめ!
コラムニストの堺屋大地による「板垣李光人の違和感も即座に解消…『秘密』がいい意味で気持ち悪くて最高!“イケメンが出るだけのトンデモSF” と侮って、申し訳ない」という記事がFLASHに掲載されました。

タイトル通り「“イケメンが出るだけのトンデモSF” と侮っていたら、めちゃくちゃ面白いドラマじゃないか!」という内容の記事です。
堺屋大地が「秘密~THE TOP SECRET~」をおもしろいと絶賛する理由は下記の3点です。
どギツい猟奇的殺人が次々起こり、映像は生々しくショッキングなこと。刑事もののセオリーを無視した衝撃展開の連続で、先が読めないこと。そして、そんなストーリーを武骨かつ硬派な演出で仕上げていること。
「板垣李光人の違和感も即座に解消…『秘密』がいい意味で気持ち悪くて最高!“イケメンが出るだけのトンデモSF” と侮って、申し訳ない」(FLASH)より
原作ファンからすると嬉しい記事ですね。
堺屋大地は「筆者のような中年男性ほど興味が沸かない人は多そうだが、先入観を取っ払ってぜひ観ていただきたい」と書いています。
2014年にテレビ朝日系で放送されたドラマ、小栗旬主演「BORDER 警視庁捜査一課殺人犯捜査第4係」が好きな視聴者は「秘密~THE TOP SECRET~」が刺さるのではないかなぁと思いました。
「BORDER 警視庁捜査一課殺人犯捜査第4係」は、金城一紀の原案・脚本です。
ある事件によって頭に銃撃を受け、脳に弾丸を残したまま奇跡的に一命を取り留め、死者と交信する能力を手にした刑事が、亡くなった被害者の声を聞いて、事件を解決し、無念を晴らすというトンデモSF刑事ドラマでした。
このトンデモSF刑事ドラマが面白かったのです。
「BORDER 警視庁捜査一課殺人犯捜査第4係」にハマった視聴者は、ぜひ「秘密~THE TOP SECRET~」を見てください。
「秘密~THE TOP SECRET~」の第4話・第5話は私鉄沿線連続殺人事件。
まさかの2週に渡る前後編!
薪・青木、そして解剖医・三好雪子(門脇麦)の関係が大きく動く展開に。
楽しみです!