「秘密」ドラマ第4話・第5話レビュー 清水玲子・佐藤嗣麻子の対談

「秘密」ドラマ第4話・第5話レビュー 清水玲子・佐藤嗣麻子の対談

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「秘密~THE TOP SECRET~」第4・5話放送

しろくろ

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関西テレビのドラマ、月10枠「秘密~THE TOP SECRET~」、第4回「目撃者のいない殺人 満員電車数秒の空白」・第5回「命がけのおとり捜査 哀しきウイルス殺人」が放送されました。

原作は1999年に白泉社「MELODY」で連載を開始した清水玲子「秘密~THE TOP SECRET~」、そして現在も連載が続く「秘密 season 0」


脚本は佐藤嗣麻子(「エコエコアザラク」「アンフェア」「陰陽師0」)、第4・5回の監督は第1~3回と同じ松本佳奈(「きのう何食べた? season2」「春になったら」「団地のふたり」)。

テレビドラマ第4・5話の簡単な概要とあらすじを説明すると……

【ネタバレ注意!】
〔第4話〕
鋭利な刃物で首を切られる連続殺人が発生。

年齢・性別・職業もバラバラな被害者の共通点は、埼玉から東京に向かう私鉄沿線利用者だったこと。

1週間前、同じ沿線の通勤電車内で起きた、薬剤師刺殺事件との関連性を疑われ、薪剛(板垣李光人)率いる第九が担当し、被害者の脳を見ることに。

薬剤師刺殺事件は満員電車にも関わらず、目撃者が現れず、捜査は難航していた。

たちが連続殺人の被害者の脳を見ると、刺殺事件が起きた同じ車両に乗り合わせていたことが判明。

被害者の脳には、薬剤師の里中恭子(中村ゆりか)がサラリーマン風の男と揉める様子、そして倒れた里中恭子の傍らに座り込む、帽子を被った男の映像が残されていた。

果たして刺殺事件の犯人はどちらの男なのか……?

MRI捜査で被害者たちが自分の爪を気にしていることに気づいた青木一行(中島裕翔)は、監察医の三好雪子(門脇麦)に見落としはないのかと迫るが、自分の所見を疑われた雪子は不快感を示す。

恭子と車内でもめていたサラリーマンの男が遺体で発見されると、死因は未知のウイルスによる感染だったと分かる。

爪の異変はウイルスに感染したサインだった。

事件はバイオテロの様相を帯びてきた。

雪子は自身の爪の異変に気づき、解剖中に感染したことに気づく……。

〔第5話〕
治療法が見つからない未知のウイルスに感染した雪子は、全ての遺体を引き受けると宣言し、解剖を続ける。

雪子を、そして刺殺事件の電車に偶然乗り合わせた人たちを救うため、青木はウイルスを自分にうつしてほしいと雪子に迫る。

解剖を続けていた雪子が倒れ、容体が悪化した連絡がの耳に入る。

青木に変色した自身の爪を見せ、感染したことを伝える。

犯人を捕まえるため、被害者の里中恭子が乗っていた同じ時刻の電車に乗り、おとり捜査をさせてほしいと青木は懇願する。

自分の命を軽く扱う青木は激怒するが、青木は聞く耳を持たない。

翌日、青木里中恭子が刺殺された当日の同じ時刻、同じ車両に乗り、里中恭子の動きを再現する。

すると、青木の変色した爪を凝視する男が現れる。

しかし、突然、男は予想外の動きを見せる……!

原作 清水玲子・脚本 佐藤嗣麻子の対談

原作 清水玲子・脚本 佐藤嗣麻子の対談が公開されました。

原作ファンや周囲からの反応を質問され、清水玲子は「いろいろな感想を拝見しましたが、とにかく3話まで見てくれ」と思っていたと語っていて、ドラマ第1話の原作ファンからの不満や反応、脚本佐藤嗣麻子への攻撃的なコメントに心を痛めていたのだろうなと思いました。

ドラマの第1話は原作からの改変が多く、原作ファンから不満の声があったことはこちらの記事:清水玲子「秘密~THE TOP SECRET」ドラマ第1話レビュー で紹介しました。

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清水玲子「秘密~THE TOP SECRET」ドラマ第1話レビュー 清水玲子の人気マンガ「秘密~THE TOP SECRET」がカンテレでついにドラマ化。主演は板垣李光人と中島裕翔。しかし、原作ファンからは不満の声があがり……。ドラマ「秘密」第1回視聴レビューです。

原作からの改変を許せないファンが罵詈雑言なコメントを書いたり、「脚本家が好き勝手に変更していいものじゃない」「清水先生は納得しているのか」「原作リスペクトがない」「『セクシー田中さん』の反省がないのか」という感情的なコメントも書きこまれていました。

実際に対談を読むと、清水玲子佐藤嗣麻子は古くからの友人であること、貝沼(國村隼)の設定変更などを事前に清水玲子は知っていたことなどが語られています。

さらに視聴者からの質問に答える形で佐藤嗣麻子はX(旧Twitter)で下記のように述べています

原作の清水玲子先生にチェックをしていただく為に 今回、脚本はかなり早くから書き始めていて、 配役が全部決まる以前や撮影が始まる以前に 最終回の初稿まで書き終わっていたので 残念ながら今回は当て書きをしてません。 映画などでは配役が決まった後に直しを入れます

引用:佐藤嗣麻子 Xより

原作者にチェックしてもらうために、早くに脚本を書き始め、撮影開始前には最終回の初稿まで書き上げるというのは連続ドラマでは珍しいですね。

原作者と制作側が相当な信頼関係で結ばれていることが分かります。

連続ドラマでは異例 第1回~第5回は同じ監督・松本佳奈 

「秘密~THE TOP SECRET~」のドラマ化のニュースをみた時、演出の名前が4人(松本佳奈・宝来忠昭・根本和政・稲留武)書かれていて、「監督が多いなぁ」と驚きました。


「秘密 season0」最新刊 第11巻 DNA編

通常連続ドラマの監督は3人くらいが一般的です。

全10話の連続ドラマにA・B・Cの3人の監督がいるとします。

最初の第1・2話はメインのA監督が担当し、3話はB監督、4話はC監督、5・6話はA監督、その後は順繰りで担当し、最終話はメインのA監督で締める、というパターンが多いです。


「秘密 season0」最新刊 第12巻 DNA編

ところが「秘密~THE TOP SECRET~」は、第1話~第5話を通してメインの松本佳奈監督が担当していました。

前半の第1話~5話までがメインの監督が通して担当し、最終話はメインではない監督が担当するのは、連続ドラマではかなり珍しいでしょう。

「なんでこういう撮り方をしたのかなぁ」と不思議に思っていました。

もしかしたら大人の事情があったのかもしれませんが、しろくろは第5話を見て、なんとなく思い当たることがありました。

第5話の最後に、原作4巻の「秘密2007 特別編」を映像化していました。


死んだ人の「脳」を、「秘密」を見てきた自分が、死後も自分の「秘密」を守り通す、そんな勝手が許されるのか。

寝ている間は意識のコントロールがきかない、寝ている間に言ってはいけないことを、取り返しがつかない「秘密」を、国家機密レベルの「秘密」を、そして自分の秘めた思いを口にしてしまうかもしれないと、薪剛(板垣李光人)は恐怖を抱き、よく眠れない様子が描かれます。

が眠りながら第1~5話の死者や犯人の脳を見て、知ってしまった「秘密」を反芻する場面がありました。

もしかしたら制作側は第1~5話を第一部完と考えていて、統一感のある演出にしたかったのかもしれないな、と思いました(第6話から薪・青木・雪子の関係性が大きく動くため)。

第1~5話の死者や犯人の「秘密」を反芻するのに同じ監督の映像にしたかった、そして「切ないバディ感」を出すのに松本佳奈監督の情緒的な映像を使いたかったのかな、と感じました。

第6話以降に3人の監督(宝来忠昭・根本和政・稲留武)がいるのも何かしらの意図があるのかもしれません。

第6話以降の各エピソードにふさわしい、そのエピソードに合った監督が選ばれてるのかもしれませんね。


次回第6話は、原作5巻の「死蝋化死体事件」のエピソード。

監督は誰が担当するのでしょうか?

松本佳奈監督とは違うテイストの演出になるのでしょうか?

楽しみです!

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